ホバート1気性の激しいボスのいるレストラン

Australia

学校の授業やオーストラリアでの生活、レストランでの皿洗いにも少しずつ慣れてきたある日のことである。その日も真面目に授業を終え、レストランへ向かい賄いを食べ、開店し仕事をしていると、厨房内に怒号が飛んできた。英語でのやり取りの場合、タイ人と中国人の言い争いである。しかも今回はボスとスタッフ間でである。しかもスタッフがボスに言い訳を強い口調で言っていた。英語でのやり取りのため、また声がお互いに大きいため私にもある程度理解できた。

ボス「(スタッフの名前)これやっておいて!」

中国人スタッフ「無理だよ!こっちだって仕事沢山抱えているんだ!」

ボス「順番に終わり次第やって!」

スタッフ「兎に角今は無理だね!」ここでボスが噴火した。

ボス「あんたいい加減にしなさいよっ!!仕事を沢山抱えているのはあなただけじゃないのよっ!!それが理解できないなら今すぐここから出ていって!!」

あちゃ〜すんなり順番にやれば良いのに〜と思っていたら、びっくりすることにそのスタッフはエプロンと三角巾を床に投げつけて裏口のドアからブツブツ文句を中国語で言いながら出て行ったのである。この展開は予想外であった。しかしボスは冷静に空いたポジションに素早く違う人間を入れて、その他の空いた場所のフォローは全てボス自身が入って補った。その場の嫌な空気と緊張を長続きさせなかった。しばらくするとさっきの事件などなかったかのようにいつも通りの時間が流れていた。私は内心動揺していたが、他のスタッフは全く動揺しておらず、普通に会話し、笑みをこぼしている。なるほどこの光景に慣れているのだ。

ふと面接の初日に隣のクラスメイトに言われた事を思い出した。きっと彼も以前はここのレストランで働き、この事件を起こしていたに違いない。だが私にはこの事件にしろ、普段のボスの仕事に対する態度にしろ、見習う点や吸収することはあっても否定する気にはなれない。今後も沢山の事件と同じくらい私はこのボスから色々と学んでいくことになる。

私は結果このタスマニア島を旅立つギリギリまでこのレストランでお皿を洗い続けるのである。

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