日夜行われる伝統舞踊
昔学生の頃、教科書で一瞬名前が登場した「ケチャッ」なる謎の踊のような音楽はわての頭の片隅に辛うじて生きていた。しかし場所などの記憶は無く、ここウブドに来て初めて見た時に片隅の記憶が蘇った。ここウブドでは旅行者ように毎晩、色々な場所、主に寺院で様々な伝統舞踊や音楽のパフォーマンスが行われていることを宿のワヤンから教えてもらい、1週間のタイムスケジュールなるものまで親切にいただき、しかもチケットはその場支払うので公演時間前にその寺院に行き、支払いを済ませ、所定の場所で始まるのを待つだけというとても魅力的な舞台であった。しかも1週間休みなく、どこかでは必ず何かの舞踊が行われていた。
ケチャッ、レゴン、バロン、呪文か!
この三つの舞踊は三大伝統舞踊としてバリ・ヒンドゥー文化の神へ捧げる奉納舞踊として舞われていたという神聖な舞踊とのことです。まずはバリ島で最も華麗で美しい伝統舞踊と言われているレゴンダンス。内容までは見ているだけは理解出来なかったけれど、煌びやかな民族衣装に身を包んだ踊り子の人たちが一糸乱れぬ動きでシンクロしながら、手って甲の側にそんなに反りますか??っていうくらい反り返り、くるくると目まぐるしく変わる大きな目の動きにも観光客は魅了されていました。
次はバロン(聖獣)と邪悪な魔女ランダとの果てしない戦いをモチーフにした人々の心の中の葛藤を描いているというバロンです。太古から災いから守るための宗教儀式だったそうです。この踊りも激しく最後のクライマックスではトランス状態になった戦士やバロン、ランダとの戦いでしょう。そして驚きの結末はその時々によって変わるとのこと。この善が必ず勝つだろうという、悪は滅びるのだろうという曖昧な終わり方ではなく、悪が勝って終わることがあるという衝撃の結末。好きですねぇ。
そして伝統舞踊で忘れられないのが伝統舞踊を盛り上げる民族音楽のガムランです。民族独特な神秘的な音色でした。激しく響いたり、静かに流れたり、舞踊との一致、ハーモニーは他の楽器では表せられないと思います。
最後にご紹介するのはケチャッです。こちらも宗教儀式を起源とするものらしいのですが、ただただ圧巻でした。大勢の男たちが円陣になり、トランス状態になり、鬼気迫るものがありながら「チャッ、チャッ、チャッ」と独特のリズムで大合唱するというものでした。毎晩様々な伝統舞踊を見ることができ、臨場感、手や足、目の動きや意味、身につけるもの、衣装、音楽、舞台などなど現地バリ島でしか味わえない、感じられない空気でした。他にも色々な舞踊はありますが、今回は代表的な三つをご紹介しました。
個人的には舞踊家も、演奏者たちも普段は普通の生活をしている現地の方々なので、パフォーマンスが終わると軽く着替えて、見ていたお客さんたちと、ほぼ同時に家路に戻るところが何とも距離感が近く、とても愛着が湧きました。
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